2007年12月05日 22:03
もともとこのイベントは、1989年、ドイツのアンドレアス・ハイネッケ博士のアイデアで生まれた。視覚障害者の若者が、自分にはない新しい繊細な感覚を持っていることに気付き、「もっと視覚に頼らない世界のことを知りたいと思い」このイベントへと発展した。その後17年間に、ヨーロッパを中心に19カ国、100都市で開催され、すでに200万人が体験している。2005年には、グッドデザイン賞・ユニバーサルデザイン賞を受賞している。
実際のワークショップは次のように進められていく。まず、参加者は約8名ほどのグループ単位で行動する。これに対して視覚障害者が一人、案内役として同行する。実際に真っ暗闇に放り出されると、自分の手も、足元も、何も見えない完全な暗闇に、恐怖や不安が募る。けれど案内人からユーモアたっぷりに暗闇での歩き方を指導され、少しづつ慣れてくる。その歩き方とは・・・
1. 手や足で感じること。
壁や地面の感覚の違いに気付くと、自分の想像力が膨らんでいく。コンクリート、木の床、枯れ葉の重なった土など、さまざまな地面を体感できるようになる。また野菜や楽器、ボールなど、さまざなまモノの“カタチ”を手で触るたび、手で“見える”ようになって好奇心が湧いてくる。
2. 声を出して確認しあうこと。
音を聞くこと。歩きながら誰かにぶつかれば、名前を確認しあい、何か面白いモノを発見したらみんなに教え合う。方角に迷えばみんなの声を頼りに歩く。情報交換はすべて声に出して行う。また小川のせせらぎや、風の音、町の音など、まわりの環境の音を敏感に聞き分けるうちに、いつの間にか声や音が、表情や風景、距離を伴って伝わってくる。驚くことに、声を出せば暗闇でキャッチボールすることもできるのだ。
3. 杖を使いこなすこと。
杖で自分の歩く地面を探りならいけば、階段の段差も把握でき、自由に歩ける。
そしてこれは最後に自分たちが感じたことだが、
4. 仲間を信頼し、助け合うこと。
暗闇で声を出し合ってサバイバルしていくうちに、初めて会った仲間とも絆が生まれる。みんなで楽しみを分かち合おうという連帯感が、暗闇を楽しい空間に変える。自分がいつも以上に、いろいろな発見や気持ちを、言葉に出していることに気付く。(でも視覚障害者の人たちは、町に出たら声を掛け合う人がいないよね? というのも気付きの一つ)