2007年12月14日 11:39
このドラマは、「無償の愛」を貫こうと決意しながらも、様々な葛藤にさいなまれ、迷い苦しみ、自らの愛と闘う女性を描く愛の物語です。
ホテル王・安宅宗右衛門を当主とする安宅家の使用人の娘・宇田川久仁子は、安宅家の長男・宗一と結婚し、莫大な財産を継承します。しかし、久仁子は、身分違いの玉の輿結婚、財産狙いと揶揄されます。何故なら、宗一は生まれながらの知的障害者だったのです。久仁子は純粋無垢な宗一を愛し、欲望うごめく世間から懸命に夫を守ろうと献身します。が、その生真面目さ、必死さが、宗一の自由な精神を束縛していくことに気づかないのです。一方、宗一の異母弟・譲二は、兄を見下し侮蔑し、名家の令嬢・玉木雅子と結婚した後も、次々に事業に失敗し兄の財産を食い潰していきます。唯一残った伊豆の「安宅高原ホテル」を懸命に守ろうとする久仁子と、名ばかりの支配人となった宗一の元へ、破産寸前の雅子と譲二夫婦が転がり込み、それぞれの生活に漣が立ち始めます。
雅子は義兄・宗一の純粋な精神に触れ、豊かな人生が送れるようにと心砕きピアノを教え、散策に誘います。雅子に接し、初めて異性に恋し執着する感情を知った宗一の心は、急速に雅子に傾いていきます。夫の心の中に忍び込んだ美しい義妹・・・・・・雅子。久仁子は初めて嫉妬を感じ、言いようのない寂寞に襲われ、拘束し続けた夫婦のあり方に苦悩します。そして、弟の譲二は、安宅の全財産を手に入れようと画策を始めるのです・・・・・・。
バブルの好景気に沸いた昭和の終わり、人々が皆、私欲に走り、欲しい物はすべて手に入れようとしていた時代に、その対極である「無償の愛」を捧げる主人公の姿を通して、人を愛することとは何か、そして真の幸せの意味を問いかけます。